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子どもに「勉強しなくてはいけない」と教えることは可能なのでしょうか?

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あえて反論の形で尋ねますが、子どもに「勉強しなくてはいけない」と教えることは可能なのでしょうか。「やらなくちゃいけないものは、やらなくちゃダメだ」と言うだけでは足りませんか?

やはり子どもにきちんと理解してもらうためには、言葉を使って、なぜ勉強が重要かということをわからせないとダメだと思います。たとえば、朝起きて「おはよう」と言うとか、近所の人に会ったら「こんにちは」と挨拶するとか、こんなことはなぜするのかを長々と説明する必要はありません。「挨拶は人間関係を円滑にするために必要」と端的に言ってやればすむ話です。

しかし、勉強はなぜしなくてはならないのか、なぜやった方がいいのかについては、上の世代がきちんと、わかりやすく下の世代に示すべきです。別にすべての子どもが勉強をする必要はないのだけれど、やれる能力のある子、やれる環境にいる子に対しては、「勉強するとよいことがあるんだぞ」と教えた方がいい。

いい年をした人がよく「学校では役に立つことを何にも教えてくれなかった」とぼやくのを聞きます。「学校の勉強なんて社会に出ても何の役にも立たない」と平気で口にする大人もいます。これはとてもおかしなことです。なぜなら、彼らは「学校では役に立つ知識を教えてくれない」と言っているようなものだからです。

役に立つ知識とは一体何なのか。どんな知識なら社会に出て役に立つのか。最近だとパソコンの使い方ぐらいは世の中に出る上で必要かもしれません。家庭教師も実際に訪問するタイプではなく、オンライン家庭教師(インターネット家庭教師とも呼ばれる)が主流になりつつあります。それくらいパソコンは一般常識として使えて当たり前の時代になっています。しかし、そんなものは学校の外でいくらでも学べるし、社会に出てから覚えてもぜんぜん遅くありません。もちろん、生きていく上で知識はあるに越したことはないのですが、学校で本当に学ぶべきこと、それは知識それ自体ではないのです。

 

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学校で知識を身につけるのではないとすれば、一体何を学ぶというのですか?

世界史のフランス革命を例に考えてみましょう。フランス革命は一七八九年に起きました。人権宣言が決議されて共和制が始まり、ルイ十六世が処刑された。その後は年表をたどれば、ジャコバン党による恐怖政治、ナポレオンの台頭……と出来事が続いていきます。これらがフランス革命にまつわる「知識」ですが、すべて覚えれば社会に出てから何かの役に立つかと訊かれれば、ほんど役に立ちません。

しかし、高校では社会科を勉強しなくてはならないし、選択科目の中から世界史を選べば、必ずフランス革命を学ぶことになる。それはヨーロッパで起きた歴史的事実に詳しくなるためではないし、大学受験に合格するためでもない。世界史という学問を通じて、ある能力を身につけるためです。それが「理解力」「想像力」「表現力」の三つです。理解力については「読解力」と言い換えてもいいでしょう。

世界史の授業でフランス革命のくだりに差し掛かったら、まず教科書の記述を読んで正確に理解し、革命に関する一連の事件の流れ、人々の動きなどを自分の頭の中に入れることになります。これが理解力であり読解力です。その読解力はオンライン家庭教師でも十分に身に付けることができます。

次に自分の生きてきた体験や新たに自分で得た関連知識などを付け加え、フランス革命に関する理解を広げていきます。革命が当時の世界に与えた影響や現代社会にもたらしたものなどを自分の頭で考えるのです。この過程で身につけるのが想像力であり、かなりの部分、記憶力とも関係してきます。それまでの人生で学んだことを加味して、理解した事柄のイメージを広げ、独自の思考、考え方をもつ。この作業によって想像力が養われていくのです。

さて、試験が始まれば、フランス革命の史実とそれにかかわる自分の見解を言葉で明快に書き記さなければなりません。この能力が表現力です。残念ながら、今の教育では論述式の試験が主流ではありませんので、表現力を培うのはなかなか難しいのが現状です。しかし、たとえそうであるにせよ、表現、つまりアウトプットが勉強の重要な要素であることは間違いありません。

子どもたちは世界史でフランス革命の知識を詰め込まれているのではなく、世界中で起きたさまざまな出来事を学びながら、理解力・想像力・表現力を鍛える訓練を繰り返しているわけです。

 

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ということは、学んだ知識は忘れてしまってもいいのですか?

知識を取り入れながらも、やっていることは理解力・想像力・表現力を高めるためのトレーニングだという意味においてはそうです。

細かい知識は忘れてもかまわない。はっきり言えば、文系の人にとって数学の微分積分は無用な知識でしょう。たぶん多くの文系出身者は微分積分に嫌な思い出はあっても、内容そのものはきれいさっばり忘れていると思います。

ただし、数学嫌いの人にとって、数学に挑む機会は決して無意味ではありません。数学もまたトレーニングだからです。まず教科書に書いてあることを理解(読解)する。次に出された例題に取り組み、自分の想像力をプラスして解法を考える。最後に数式を用いて解答を導き出し、表現する。つまり数学を学ぶ本当の目的は世界史と同様、想像力・表現力という三つの能力の習得なのです。人気のオンライン家庭教師ではそう行った勉強の意味も教えてくれます。

数学という学問では、一切の無駄をそぎ落とした論理性が要求されます。幾何の証明問題がよい例ですが、理解から想像、表現に至る思考の流れを理路整然とコンパクトに、過不足なくたどらなくてはなりません。

英語にしてもそうです。長文読解問題では、書いてある文の内容を理解し、作者の意図を自分の記憶などと照らし合わせて想像し、設問に対して自分で答えを表現していきます。英語の勉強を通じて英会話をマスターできれば、なおいいのですが、最大の目的はそこにあるのではありません。また、今の学校の英会話教育には非常に問題があると思われますので、これについては後でふれることにします。

要するに、勉強というのは、インプットとしての理解とアウトプットとしての表現、その間をつなぐ想像、この三つの力の訓練だと言っていい。国語・数学・理科・社会といろいろな科目を学ぶことで、さまざまな角度から多面的にこれらの能力を磨いていく作業が学校での勉強なのです。

 

前回の記事はコチラ→【どうして勉強しなければいけないの?

 

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